多声楽の組み立て方 その①

バッハに苦戦する人が多いので、

多声学の組み立て方について…。

 

話が複雑にならないように、

三声帯を前提に話を進めます。

 

まずは、一声部ずつを、

取り決めた演奏条件、

アーティキュレーションや運指、

強弱などで、十分練習することは、

言うまでもありませんが、

それ以前に、各声部の旋律を、

歌として歌えるように、

暗譜してしまうことが推奨されます。

 

特に三声以上の多声を、

一人で演奏すると、

音楽の基礎力が弱いと、

しばしば声部の混乱が起こります。

 

各部分で表に出るパートの旋律だけを、

無意識的に選んで聴いてしまうことで、

ある声部と別の声部が、

パッチワークのように、

繋げられてしまうからです。

 

三声では演奏できるのに、

各声部をばらして演奏したら、

まるで初めて聞くメロディーに思えた…、

なんて状態は要注意。

 

これは、グラグラした基礎工事の上に、

一見完璧なできばえの、

家を建てたようなもの。

小さな事故で崩壊してしまいます。

 

音楽を志した人であれば、

バッハの各声部を正しく歌い、

暗譜することは、

それほど難しくないはず。

 

多声の完全な演奏に到達する鍵は、

実は、この一番初めの段階にあると、

私は思っています。